自閉症は親のしつけが発症の原因では無い
自閉症は、女性より男性の方が、発症の確立が高い発達障害の一種で、昔は親のしつけが発症の原因と考えられていましたが現在、脳内のたんぱく質(セロトニントランスポーター)が発症に大きく関与していると結論が出ています。
静岡県浜松医大・研究により、自閉症を持つ人の脳内のセロトニントランスポーターの量が健常者の量より少ないと判断されました。セロトニントランスポーターは、シナプスの隙間に貯まったセロトニンを再利用する為の物質で、セロトニンは、脳内に存在する神経伝達物質の一種で、人の感情・精神活動に大きく影響し、セロトニンが少なくなると感情のコントロール・心のバランスが取りづらく、怒りっぽくなり、精神疾患を誘発させる事が有ると分かって来ました。
高齢出産との自閉症の関わり
米国カリフォルニア大学の調査・研究では、
母親が40歳以上⇒母親が30歳未満の約2倍
さらに5歳年を取るごとに、確率は18%ずつ自閉症のリスクが上がって来ます。
父親が40歳以上⇒父親が30歳代の1.5倍、自閉症のリスクが上がって来ます。
20歳代・30歳代の両親の出産に比べ高リスクな高齢出産になる可能性と男の子が自閉症になる確率は女の子の3~4倍と高い事を知識として覚えておくべきです。原因は、妊娠6週目~24週目にかけて、男性ホルモンの一種であるテストステロンという物質がシャワーの様に浴びる事により胎児は男性へと変化しますが、分泌量が多すぎると発達に異常をきたし自閉症になる可能性が出てきます。但しテストステロンを浴びすぎると必ず、自閉症になるとは限りませんが何らかの影響は有る様です。
知能指数(IQ)70が境目です
知能指数(IQ)70以上ある自閉症を高機能自閉症と言い、知的障害を伴わないタイプの自閉症と識別され、HA・アスペルガー症候群と呼ばれています。
3歳までに発症する可能性が高く、人とのコミュニケーションが困難、興味の対象が限定されて他の事には無関心。一つの事に特化した能力が成長するのが特徴です。記憶力や暗記力に特化している子供が特徴となります。
知能指数(IQ)70以下の自閉症を低機能自閉症と言い、自閉症全体の70%を占めています。カナータイプ・カナー症候群が低機能自閉症となり、まったく言葉を発しない・同じ言葉を繰り返す等高機能自閉症、低機能自閉症共、人との会話が困難な病気です。
自閉症の三大症状
昔は、お父さん・お母さんの子供への、しつけ不良による現象と言われていましたが、現在では、自閉症と言う、精神的な疾病と確立されています
その一・人とのコミュニケーション困難
自閉症の子供は、悪気が有って会話への反応をしないのでは無く、コミニュニケーションを取る事が苦手な子供が多く、話しかけても視線をそらす、人の輪の中に入れず、一人ボッチで一人遊びをしている等会話や協調が上手くできず、なかなか友達作りを出来ないでいます。
相手の表情から喜怒哀楽を読み取る事が出来ない、相手の感情を理解出来なくて誤解を招きやすい等の現象が有ります。
親が話しかけても怒っても、他人事と表情ひとつも変えずに居るわが子に困惑する親御さんもいます。
その二・言語発達や理解度の遅れ
子供は成長と共に、言語能力が発達してきますが、自閉症の子供は、言語発達が遅れ気味で、相手に伝わる会話が出来るまで、とても長い時間がかかります。たとえ言葉を発するようになっても、その場や状況に適した言葉を発するのでは無く、意味不明な言葉を発し、周りを驚かせる事が有る様です。
悪気は無い行動ですが、相手の言った言葉をそっくりそのまま返す「オウム返し現象」も自閉症の子供の特徴です。
その三・興味の対象や行動の限定
自閉症の子供は、趣味の対象や行動が限られ、変化を嫌い、同じ行動を繰り返し行う傾向が有り、同じ場所に同じ物が昨日有ったのに今日は無い、決まり事を変更した時に理解出来ず、パニックを起こす事が有ります。
自閉症の子供は、同じ動きをする物に興味を持ち、いつまでも見ています。駒やヨーヨー等回るもの、同じ動作を繰り返す物に興味を持ち、体を前後に揺らしたり、手をひらひらさせたり、クルクル回ったり不思議な動きを始めるのが特徴です。
自閉症の治療手段
自閉症は先天的な脳障害の為完治させる事は出来ない疾病です。
理解不能な行動・理解不能な言語等の行動を制御・改善する方法は二通り有ります。暴露療法と音楽療法は本人のしつけだけでは無く、周辺の迷惑防止・家族の負担軽減の目的も有ります。
その一・暴露療法
悪い癖や行動を直して行く様に仕向けていく治療法で、その一つABA(応用行動分析)が有ります。ABA(応用行動分析)は、アメリカの患者さんに多く使われ効果的な治療ですが、日本には、専門家が少いのが現状です。
ABA(応用行動分析)治療
強化・消去・罰(弱化)の基本原理に基づいて治療を行います。
強化⇒自閉症の子供が良い行いをしたら、ほめる・ご褒美をあげ喜ばせる等、良い行いを増加させる事が目的です。
消去⇒望ましくない行動を取ったら、ほめない・ご褒美を上げない事により、望ましく無い行動に対する意欲を失わせるのが目的です。
罪(弱化)⇒望ましくない行動(問題行動)を起こしたら、普通の子供と同じ様に叱って不快な刺激を与え、望ましくない行動(問題行動)を減少させる様仕向ける事が目的です。
その二・音楽療法
音楽には脳に良い刺激を与え、感情をリラックスさせる効果が有り、興奮状態・パニック状態を落ち着かせる効果が有ります。
パニックに陥っている子供に、ピアノやオルゴールの音色を聞かせ、心が落ち着くか確認しながらどの音色が、一番効果が有るのか確認しながら、治療を進めていきます。
自閉症の症状は、千差万別なので個々に合った音を探し治療する事が大事で、心地よい音楽は心をリラックスさせ、かたくなな心を開く効果が有りストレス解消に効果が有ります。
自閉症に使用する薬
薬で自閉症は完治出来ませんが、自閉症特有な症状を軽減する事は出来ます。
感情や信頼感といった感情に影響が有る、脳の視床下部で合成されるホルモンの一種です。
2015年複数の大手大学病院が共同で大規模な自閉症とオキシトシンの試験が進められ今後の進展が期待できる医薬品です。
完治ではなく改善が期待されるオキシトシンは、医師の指示により服用量が指定されていて、幼児への服用は、難しく中学生位から服用が可能となります。
自閉症スペクトラム患者へオキシトシンを投与し、「コミュニケーション能力の向上・暴れる等の問題行動の軽減」等の効果があったと発表があり、今後実用化される事が期待されています。
【自閉症にオキシトシンにオキシトシン効果・金沢大学で確認】・参照
<参考>
http://www.brain.riken.jp/jp/aware/synapses.html
http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/knowledge/biblio/develop_disorder005.html
http://moomii.jp/kosodate/waving-bye-bye-backwards.html
http://www.oxt-news.com/oxytocin/and_autism.html
小学校入学前、わが子の行動に疑問を抱いた時は自閉症を疑い、医療機関の検査を受ける事を勧めます。自閉症は、お父さん・お母さんの、しつけ間違いでは無くお子さん自身の神経性疾患と認識し、完治出来ない疾患ですが、薬の投与により症状を軽減する効果が認められています。